β2GPI/HLAクラスII抗体とは


β2GPIというタンパク質は、細胞膜を構成するリン脂質に結合し、凝固反応や血小板凝集を抑制的に制御しています。
血栓症や不育症を起こす自己免疫疾患として抗リン脂質抗体症候群(Anti-Phospholipid Syndrome, APS)が知られています。臨床症状からAPSの疑いがあるにもかかわらず、現行の診断法では検出されない患者さんにおいてβ2GPI/HLAクラスII(HLA-DR)複合体抗体が高頻度に検出される研究成果が報告されています。下図に示すβ2GPI/HLAクラスII(HLA-DR)複合体は自己免疫疾患における抗原(ネオセルフ抗原)となり、自己免疫疾患の病態と深くかかわっているとの認識が広まってきています。
現在は、APSの症状の中でも不妊症(特に子宮内膜症や反復着床不全)・不育症の分野で積極的な臨床データの取得が進み、病態との関連が解明されつつあります。

ネオセルフ理論によりHLA class IIと複合体を形成し、異所に抗原提示されたβ2GPI抗原に対し、自己抗体が作成される