現行のAPS抗体検査との違い

β2GPIは、5つのドメインからなる糖タンパクです。
現行の検査方法におけるβ2GPIと、HLA-DRと複合体を形成したβ2GPIの間には立体構造に違いがあり、複複合体を形成したβ2GPIの方が生体内での構造に近い形であることが示唆されました。

上の図は、AI(AlphaFold2)で構造予測を行ったものです。
β2GPIネオセルフ(β2GPI/HLA-DR複合体)は既存のリン脂質結合型β2GPIとは異なる構造をとっています。

現行の抗体検査は、β2GPIをプレート等に固相したり、リン脂質と複合体を形成するときにネイティブ構造とは異なる構造をしています。
一方、ネオセルフの複合体は遺伝子導入によりβ2GPIおよびHLA-DRを細胞株に導入し、β2GPI/HLA-DR複合体をそのまま細胞表面に発現させているため、よりネイティブに近い構造をとっていると考えられます。
全国5つの大学病院で不育症女性227人に対し、β2GPIネオセルフ抗体価(β2GPI/HLA-DR抗体価)を測定したところ、全体の約1/4で陽性となり、さらに従来の検査では原因不明となっていた患者の約1/5で陽性となることが分りました。このことから、ネイティブの立体構造に対する自己抗体を検出し生理的現象を反映している可能性が示唆されました。


診断の補助を目的とし確定診断の目的としては使用できません。
不育症管理に関する提言2021」(令和2年度厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)において、研究的検査として位置づけられています。